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「……悪く、ないかもしれませんね。
是非、それでお願い致します。」
しばらく考え込んでた黒澤がそう返すと、あまりにもすんなり話を飲んだ彼に、二人はあらゆる恐怖に固まった。
「若、風間からのメールが入りました、これから打ち合わせに入りますから、夕食は港近くの『ラグジェ』でお二人でどうぞ、私が予約とお支払は持ちますから。」
黒澤は穏やかな面もちで立ち上がりながら、
「それじゃ、カゲヤマ君、おにいちゃまでよろしく。
若、……気付かせて頂いて、ありがとうございます。」
爽やかに退室していったが、
残された二人は固まったままで、
「……矢島、これって、業務命令?」
「……そう思えば、取り組める?」
「……なんとか💧」
「じゃ、そうしてやって。
黒澤も愛をずっとさがしてたみたいだから。
食事ん時、詳しく話すよ。」
黒澤の去り際の涙を、矢島は決して見逃さなかった。
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