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※良い天気になりましたね。障子戸を通って柔らかな日差しが入ってきます。カーン カーン おや、めずらしい。羽根つきの音がしますね。昔は、町のあちら此方で羽根つきで遊んでいる子供たちがいましたけどねぇ、最近は少なくなりました。
ちょっと散歩にでも出てみましょうかね。昨夜に降った雪が、すっかり溶けて、日溜まりでスズメたちが遊んでいます。おゃ、スズメが一羽、こちらに来ますね。
「ぬらさん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくです」
舌切りスズメのスズメさんですね。お年賀のツヅラはないんですか。あれば、妖怪入りの大きなツヅラが戴きたいんですけどね。ちょっと、厚かましかったですかね。
あれは・・・、遠くに白い綿帽子を被った富士山が見えます。今年も良い年になると良いですね。
山の端が赤く染まる頃、月が冷たい微笑みで地上を照らし、妖怪たちが集まり始めます。お客さんは、天狗の太郎坊さん、狼男さんタヌキの八兵衛さん、雪女の小雪さん、ろくろ首の小染さん。まぁ後は、気が向いたらくる連中です。
持ち寄り式のパーティーだといってありますから、何か好きな物を持ってくるでしょう。何時だったか、だいぶ前ですが、ゴキブリ男が、腐ったゴミみたいな物を持ってきて、大変なめにあいました。奴とゴキブリババアは、来ないといいんですがね。招待しなくても来る奴らですから用心しないとね。
やがて、月がむら雲に隠れ、冷たい夜風がヒューと通り過ぎる頃、妖怪の新年会が始まります。
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