桜と君と、うまい棒

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『あっ、びっくりした……』 ドアを開けたら、そこにいたのは澤田晃だった。 一番窓際の席に座っていた彼。 今まで、同じクラスになったことはない。 全く、接点はなかった。 だが、彼を知らない奴は、この学年にはいない。 『折り紙つきの問題児』、そう言われている。 髪は、年中金髪に近い色。 顔は、どちらかというとジャニーズ系なのに、雰囲気は怖い。 万引きやかつあげはもちろん、族に入っているとか、ヤクザの息子だとか、女は何人もいるだとか、いろんな悪い噂ばかりが流れていた。 まさに、自分とは全く違う世界の人。 面識はないのに、彼に対するイメージはそれしかなかった。 だから、意外だった。 彼が、 うまい棒を食いながら、なにやら本を読んでいたのが……
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