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『何!?何か用?』
呆然として立っている俺に向かって、彼はそう声をかけてきた。
声色は、どことなくぶっきらぼう。
思わず、少したじろいでしまう。
『あ~………。いや、別に…』
『…何キョドってんだよ。』
『えっ……いやぁ~べつに……』
『……別にって、それっきゃゆえんのかい!』
そう言って、彼は、クスクスと笑った。
そして、読んでいた本を閉じて、視線をこちらへ向けてくる。
『別になんもしねぇから安心しな。』
若干混乱していた俺の頭の中を察したのか、彼はそう言った。
その声が、なんとなく耳に残る。
なぜかは分からない。
けれど多分、その声色が、彼の学年中のイメージを覆すような、優しい感じだったから、かもしれない。
『古賀だっけ?部活?』
『あっ、うん…バレー部…』
『へ~っ。身長いくつ?』
『多分……196?』
『でけぇな。そんだけあると、どうなの?』
『どうって…でも、わりと不便な時とかあるかな~。教室出入りする時も軽くかがなまきゃいけないし』
『そっか~っ。可哀相。』
驚いた。
なにがって、あの澤田とこうして普通に喋れていることが。
まるで前から友達であったかのような雰囲気が不思議だった。
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