三輪ノ恵村

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民家田圃民家田圃が結構続いた すると不意に地蔵と言っていいのか でも自分の知っている丸坊主のお地蔵さんのようなものが視界に映った ついつい目で追ってしまったので目に焼き付いているその姿は地蔵の額に二本の角の様なものが生え優しく微笑む異様な姿だった 「あのっ」 とっさに小谷さんに話しかけていた 「はい、なんですか」 「あの、なんか珍しいお地蔵さんみたいなのがあったんで・・・なにかなぁって」 恥かし交じりに小谷さんに質問をぶつけてみた 「あぁ、気付きましたぁ、あれねお地蔵様なんですよ、珍しいでしょ」 「はぁ・・・」 「珍しいお地蔵様?」 父が不思議そうな顔でバックミラー越しに俺を見ていた 「ここの村はさっきも言ったように孤立しているんですよ、そんでだれが作ったか知れませんんが村独自の宗派があるんですよね」 「村独自の宗派・・・」 「えぇ、まぁ細かく言ってしまえば集落によっても異なる宗派が存在しているんですけどね、えぇっとこのへんだと鬼神派(きしんは)なんていう鬼を神として崇め心のよりどころにしている宗派の家が多いですね」 小谷さんの説明で何となくだがさっきの地蔵のことがうっすらとわかった気がする 「んだから息子さんが見たの角生えたお地蔵様だったでしょ」 「はい・・・」 「まぁあれですよ皆さんもそうでしょうけど最近の家は自分の宗派を知らない家庭が多いでしょそれと同じですよこの村でもそれは同じで別に今となっては信仰している人なんて全然いない」
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