暮れる暁

三輪ノ恵村

「そう言えば言ってませんでしたけど椿さんのとこに明日でもいいんであいさつして来ちゃって下さいね」

「椿さん？っていうのはどちら様で」

思い出したように小谷さんが話かけてきた

「椿さんってのはこの村の村長的な役の人なんですまぁ実際にはこの町に村長なんてのは存在しないんですけどねなにか集まりがあった時に代々まとめ役を買ってるんですよ」

「わかりました・・・椿さんのお宅っていうのはどのあたりで」

「老川さんのお宅が三輪ノ恵の東側ですからもうちょっと北の方に行くと旧社（やしろ）村の社地区っていうとこにおっきなお屋敷があるんですけどそれが椿さんのお宅ですね」

「はぁ・・・」

なんともおおざっぱな説明に土地勘のない父は困惑気味だった

「なんだったら明日お迎えに行きましょうか車も置いてきてしまったし移動は大変でしょうから」

「そうしていただけるとありがたいです」

そうして父と小谷さんは明日の時間やらを決めてようやく新居に着いた