入村

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「―――お………おい…おーい」 「っん……」 父の呼ぶ声で自分が知らぬ間に寝てしまっていたことに気づいた 何時間くらい寝てしまっていたのだろう 車内に差し込んでいる光がまだ眩しさを残していることからさほど長くは寝ていなさそうだ まださめきらない憂鬱なまぶたを開き何気なしに窓の外を見てみるとそこには都会とは真逆の世界があった あたり一面見渡す限り青々と涼しげな水田が広がり、いくつかの民家が軒を連ねるだけのド田舎だった 都会育ちの自分にとってその景色は衝撃でもあり自分が日本という国の住人だということを再確認させられたような感覚だった どれほど走ったのか車は今、車どうしががやっとすれ違えるかどうかの細い山道を永遠と進んでいた。 そこからさらに1時間ほど走ってすこし開けた所で車は止まった。image=422948915.jpg
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