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日は完全に落ち、辺りは真っ暗になり、ホテルの明かりだけがぼんやり浮かんでいる。
泣きつかれたのか、ハナは山崎がくれたホットミルクを飲み、落ち着くとロビーの椅子で眠ってしまっていた。
「このままじゃあ風邪引いてしまうぞぃ、風呂は沸かせんのかのぅ。」
「さっきのアヤノって女にも言われましたよ、まったく、ボイラー見てきますね。もしかしたら湯がつかえるかもしれない。」
「ありがたい、厨房のガスは使えたから多分大丈夫じゃろう。」
「ですね。」
そういって中川は懐中電灯を持ち地下のボイラー室へと向かう
薄暗い地下室の一つにそれはあった。
「やっぱり動いてないな、動くのかな。」
中川がスイッチを入れると、ボイラーはゆっくりと始動しだした。
「これで湯が使えるだろう。」
安心した中川がロビーへ戻ろうとしたその時!
「キャ―――!!」
女性の悲鳴だ!
中川が慌てて戻るとそこにはアヤノの姿が、何かに驚いて腰を抜かしているようだ、中川が近づき声をかける。
「どうした!?何かあったのか!?」
「あ、あ、あれ…」
そういってアヤノは扉の開いた部屋の中を指さす
その部屋の中にゆっくりと視線を移す…
そこには、喉を引き裂かれ血だらけになり倒れているケンジの姿が…
「どうした!?」
山崎が駆け寄る、中川が部屋に視線を促すと山崎は
「なんてこった、まさかここで事件が起こるなんて…」
「山崎さん、あなたやっぱり…」
「ん?、あぁ、そうだ、私は刑事だ、殺人事件の星を追ってこの辺りを捜査していたんだ。」
「やっぱりそうだったんだ、そうだ、アヤノさん!大丈夫ですか?」
「あぁ…、あぁ…、」
アヤノは放心状態で口をパクパクさせている…
「イヤー!!」
アヤノは突然叫び出すとその場から逃げるように外へと飛び出す!
「アヤノさん!!」
中川と山崎も後を追う!
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