一章

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男はその小さなホテルに入るとある違和感を感じた。 「ん?誰もいないのか?すいませーん!」 まったく人の気配が無いのだ、電気はついている、営業はしているのだろうか?不思議に思いながらも男は濡れた服とぬかるみにはまり動かない車が気になり中へと歩を進める。 「すいませーん、誰もいないんですかー?勝手に入りますよー…」 少し不気味に感じた男の声は少し小さくなっていた。 とりあえず電話を探す… あった! 小銭を入れダイヤルを回す…がかからない、とゆうかつながっていないのだ!受話器を上げても何の反応もない… 「電気はついてるのに電話はつながんないの?」 男は電話をあきらめホテル内に人がいないか探し始めた。 「誰もいないんですかー?」 本当に誰もいないようだ、客室は10室程の小さなそのホテルには男の声だけが空しく響くだけである。 「誰もいないならしょうがないか、雨が止むまで雨宿りさせてもらうか…」 トボトボとロビーに向かって歩いていた、その時、ホテルの玄関に一人の男性が入ってきたところだった。 「ヒドイ雨だなぁ!あっ、すいませんがここで雨宿りさせてもらってもいいかね?」 その男性は男の父親ぐらいの年齢でおそらくは男をこのホテルの人間だと勘違いしたのだろう。 「いや、おれはここの人間じゃなくて…」 「ん??おぬしは?」 男はその老人にこのホテルの状況を説明した・・・
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