【28】終焉の時

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要塞の制御パネルに手を当てた。 「メイ・・・ありがとう」 目を閉じたラブの脳裏に、メイの記憶が走馬灯の様に蘇る。 (キス…ちゃんとしとけば良かった。歯磨きぐらい、ちゃんとしないから…メイ) 閉じた瞳から、大粒の涙が、装置に落ちて跳ねる。 「大好きだよ。メイ。さよう・・・なら」 添えた手に力を込める。 「ギュイーン❗️」 トリノ砲が発射を迎える。 ラブの手首に光のリングが現れ、額の紋章が光輝き始めた。 ラブを、眩しい光が包み込む。 ラブは、手に触れたマシンとコンタクトし、自在に操る特殊能力を持っている。 今回の相手は、太古の強大な兵器と、この星のエネルギー。 「アアアァァァーー❗️❗️」 ラブが叫ぶ。 小さな体に、とてつもないパワーが跳ね返ってくる。 治癒を始めた傷口が開き、鮮血がほとばしる。 「グウッ⁉️」 懸命にこらえるラブ。 「絶対に・・・負けない❗️メイッ、私の想いを、受け取って。ィヤァーッア❗️❗️』 ありったけのパワーを放つ。 「ギュィーーン❗️」 抵抗するシステム。 「…お願い、この星を守って。私に…力をかして❗️」 懸命に祈るラブ。 と、その時。 何かが、ラブの心に入ってきた。 (⁉️…なんて…あたたかな力。これは…) それが、この星が持つ本当の力であり、帝国が守ろうとしたものだと、ラブは悟った。 「ありがとう」 目を開くラブ。 装置全体を、優しく美しい光が包んでいた。 その光は、海に浮かんだ遺跡をも包み込み、その優しくあたたかな空気の波は、全世界の全ての生き物へと伝わった。 「ありがとう地球(テラ)。メイ、今行くよ❗️」 「ピシッ…ヴゥアッ✨💥✨」 トリノ砲が発射された。 目標であったはずの東京ではなく、ペルー共和国、ナスカへ向けて・・・。 「メイ・・・ァァ・・・」 ラブの気力が限界を超えた。 「ラブ❗️」 崩れ落ちるラブを、ヴェロニカとT2が支え、床に横たえる。 「ラブ、良くやった。クソッ!なんでいつもお前ばかりこんな・・・」 「ガンッ❗️」 拳が床に大きな窪みを作る。 「T2、ヴェロニカ・・・あなたたちのおかげよ。あり・・・がとう」 意識を失うラブ。 その頬を、熱い涙が流れ落ちた。
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