【28】終焉の時

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T2が席を譲る。 「入れ間違ったら最後だ、さてどうするヴェロニカ?」 ヴェロニカの世界最高の頭脳が、プログラムを調べながらめまぐるしく働く。 (・・・このプログラムって・・・そんな・・・) ヴェロニカは、さらに信じたくない事実を知った。 T2は、必死に戦う彼女の姿が可哀相に思えた。 単なる犯罪者ではなかったものの、自分の父親が、倒すべき敵であり、たった今、目の前で死んだ。 その父が自分と同様に愛したものと、今自ら戦っているのである。 「あんな親でも、お前のことを想っていたのは間違いねぇ。お前のママが、ビデオレターの最後に証言してたぜ」 (えっ?) 「ママがパパのことを?」 「ああ。大切なことだってよ」 (…⁉️) 「アイ❗️ママの声を聞かせて❗️」 「ど、どうしたんだヴェロニカ。今そんなもん聞いてる暇はないだろう」 「私のママはね、結婚するまでは世界一の頭脳って言われたのよ。あの人が・・・ムダなことをするはずがないわ❗️」 「どうしてこの状況で、そっからそうなるんだ?お前の頭ん中ってのはどうなってんだ」 「T2、どの辺?早く❗️」 「ああ・・すまん。確か、最後の最後だ」 アイが通信で、ビデオレターの最後を流す。 『・・・大切なことだから、忘れないで、お前のパパは、大好きな遺跡を眺める時でさえ、いつもお前のことを想っていますよ。どうしても、それだけは伝えたくて、このメッセージを・・・』 (少し考えるヴェロニカ) 「ありがとう。ママ・・・」 奥歯を噛み締めるヴェロニカ。 「はぁ?どういうことだ、ヴェロニカ?」 「ママは・・・ママはきっと、HEAVENの最終決断に賛成してなかったのよ」 「おいおい、お前のママまでHEAVENだったって言うのか?』 T2の目をまっすぐ見る。 「間違いないわ。私には分かる・・・このプログラムは、ママが作ったものよ❗️」 「何だって⁉️」 タッチパネルに向かうヴェロニカ。 「残り10秒です。急いで❗️」 アイが・・・焦っていた。
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