【29】エピローグ

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「もしかして・・・」 その声に振り向く二人。 「あっちゃー!本物のラブさんじゃき!まっこと、どないなっちゅうがやろう」 「ラブ、何語だこれ?」 「フフ。土佐弁って言葉よ。もしかして、山口・・・良介さん?」 「はい!覚えてくれちょったが。嬉しいぜよ。なんで分かったが?」 「え・・・え~と・・・」 ラブの視線は、良介の鼻に残る歯型を見ていた。 「ああ!これか。いやいや、メイさんの酒っぷりには参ったぜよ。でも、今じゃあ、この傷が、なんやあの子の形見みたいに思えて気に入っちゅうがやき。ハハハ」 メイの母、美紗の初恋の人であり、美紗が死ぬまでの間、一緒にいた人である。 その後は、良介の家に呼ばれて、色々な話に盛り上がった。 世界のスーパースターが来たということで、町中の人が、食べ物や贈り物を持って集まった。 「T2・・・。あったかいね。ここ。」 涙ぐむラブ。 それに気づいた郵便局長が言う。 「おい!良介。お前天下のラブちゃんを泣かせちゃあいかんやろうが❗️」 「はぁ?俺はなんにも・・・」 「皆さん・・・違うんです。これは・・・何だか、とても幸せで。嬉しくて」 慌ててラブが弁解する。 「ラブさん。無理しちゃあいかんぜよ。疲れたら、いつでもここへ帰っといで。今日から、あんたもここの仲間じゃき」 「・・・ありがとう」 ラブの涙が溢れ出した。 「ほれ!局長さん。おまんのせいぜよ。怖いのは顔だけにしちょきや」 タバコ屋のおばさんが茶化す。 「こりゃあ、参った!!ハハハハ」 「ハハハハッ」 結局その夜は、良介の家でやっかいになったのである。 久しぶりに、安らかに眠ったラブであった。 良介はというと・・・襖一つ隔てた部屋で、全裸のアイドルが寝ているというだけで、一睡もできなかったのだが・・・。
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