第0001話 伝説《でんせつ》の玉璽《ぎょくじ》

3/4
110人が本棚に入れています
本棚に追加
/697ページ
十五代定安侯(ていあんこう)劉嬰(リュウオウ)の代、居摂(キョセツ)三(西暦8)年、安漢公(あんかんこう)王[莽`](オウモウ)([大]では無く[犬])(字:巨君(キョクン))は幼くして皇帝になった劉嬰の代わりに(まつりごと)を執り行い、初めは『仮皇帝(かこうてい)』、仕舞いには『摂皇帝(せつこうてい)(摂政(せっせい)皇帝)』と名乗り、権勢を奮った ある日、夢の中で初代太祖高帝劉邦の御霊(みたま)から禅譲(ぜんじょう)を受けたとして自ら皇帝に即位、十五代定安侯劉嬰を(ないがし)ろにし、劉嬰から禅譲(ぜんじょう)を受けて『(シン)』を建国した 歴史上初の禅譲であり簒奪(さんだつ)に相当する行為である 王[莽`]が帝位を簒奪しようと、当時、伝国璽を手許に保管していた姑母(こぼ(伯母:おば))孝元太皇太后(こうげんたいこうたいごう)王政君(オウセイクン)に「伝国璽を引き渡す様に」と王[莽`]の従弟、王舜(オウシュン)(字:不詳)を使者として使わした 王政君「王[莽`]、誰のお陰で今の地位に就く事が出来たと思っているのです?。全ては、漢歴代の陛下の御情(おなさ)けに()るものではないか。御恩を忘れ劉漢(りゅうかん)が衰えると、その地位を奪わんとするは、一体どういうお心算(つも)りですか?」 王舜「孝元太皇太后様!」 王政君「其男(そなた)の様な卑賤(ひせん)な奴の食べ残しなど、(いぬ(やまいぬ))でも喰わぬであろう!」 ポイッ ポキッ!…ゴロゴロゴロ…… 王舜「…なッ、何という事をッ!」 王政君は、持ち出した伝国璽を王舜に投げ付け泣き崩れた この時、伝国璽の龍の角が欠け、後に黄金で角を補習し、その跡が本物の伝国璽である証拠として後世に伝えられて行く
/697ページ

最初のコメントを投稿しよう!