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延康元(建安二十五。220)年10月初旬
献帝(劉協)は、高御座の玉座に座り、曹皇后(曹憲)は、御帳台の浜床に臥していた
曹貴人(曹節)、曹美人(曹華)は、2人の一段下の土敷の茵に座って居る
魏王曹丕(字:子桓)、太子中庶子司馬懿(字:仲達)は恭しく跪き、下を向いたまま話し始めた
司馬懿「この司馬懿、畏れ乍ら時勢を慮りますに、漢は此処に衰退し、今、正に禅譲の時。…御献替の程を。この御奏聞、畏み畏み申し上げ奉りまする……」
献帝「魏王…。今、司馬懿は何と………?」
曹丕「陛下。畏れ乍ら直奏をさせて頂きます。只今、御召しに為られて居ります高御座を、私めに御下賜いただけますでしょうか?。周りの者共が、何度も薦めて来るので混乱して居ります…」
曹皇后「…魏王ッ! 。コホッ…」
異母兄の言葉を遮る曹皇后、それに続く異母妹の曹貴人と曹美人
曹貴人「魏王よ、誰の御陰で今の曹家の隆盛が在るとお思いですか?」
曹美人「…子桓兄様ッ」
後漢末期、曹丕が献帝に禅譲を迫り、献帝后で曹丕の妹である曹皇后、曹貴人、曹美人の3姉妹が同じ様な境遇の中、この伝国璽を兄の曹丕に投げ付ける事となるのは、まだ、誰も知らない…
…そう、歴史は繰り返すのである。
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