第0002話 裁判《さいばん》の行方《ゆくえ》

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1世紀、劉邦が漢を建て200年を数え、王[莽`]の『新』に因って滅びてしまいます ところが、劉邦の子孫である劉秀が『新』を滅ぼし『漢』を復興させました 劉邦の『漢』と劉秀の『漢』は別の王朝ですが、漢の復興を志した劉秀が天下を取ったので一応、同じ国として同じ『漢』という国名にしました 便宜上、劉邦が興した国を『前漢』、劉秀が新を倒して建て直した漢を『後漢』と言い換え区別しています 第十六代前漢光武帝、初代後漢世祖光武帝劉秀の時代、皇帝即位後5年、お花見を開催、そこに書生であった司馬(シバ)仲相(チュウソウ)も呼ばれていました 司馬仲相は、酒を喫みながら秦の時代の歴史書を読み始めました 「始皇帝、民を苦しめ政を省みず、項羽と劉邦の戦いを招いた男…。馬鹿めが、私が皇帝なら、もう少し上手く政を治められただろう…」 独りで酒を愉しむ司馬仲相の前に、桑で出来た6頭繋がれた古の皇帝専用馬車と共に50人程の美しい着物を着飾った行列が現れて 「司馬仲相…、いや、皇帝陛下、ここは陛下の居るべき場所ではございません、さぁ、此方へ…」と叮嚀に頭を下げた それを見聞きしていた司馬仲相が「貴男方は今、一書生の私を皇帝陛下と仰ったが、天下に2人の皇帝は居られません」と答えると 50人程の行列の1人が「貴男は、自らを皇帝陛下と仰ったが、天下に2人の皇帝は居られません。今、陛下が漢を再興したばかりです、貴男が皇帝を僭称しても人脈が無い貴男は、陛下の兵達に攻め滅ぼされるだけでしょう」と言った 司馬仲相は「では、如何すれば良いと言うのですか?」と尋ねると 50人程の行列の1人が「この御車(みしゃ)に乗り、床を見て、3つ数えたら顔を上げてください」と答えた 司馬仲相は初めは訝しんだが、酔っていた事も手伝い「(ここは夢の世界か獣の悪戯で、そのうち御車と行列は消えて行くだろう…)」と、言われた通り3つ数えてから顔を上げる事にした
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