第0002話 裁判《さいばん》の行方《ゆくえ》

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司馬仲相は、言われた通りに「1つ、2つ、3つ…」と数えると 外にいる行列の誰かが「もう上を向いても良いですよ」と言ったので、御車から外を見回してみた 司馬仲相は「ここは何処ですか?」と訊くと 行列の誰かが「ここは冥界です、貴男は宴会でお酒に酔い、その儘、深い眠りに着いたのです…」と云った 暫らく御車に乗せられて、何処かへと着きました 司馬仲相は御車から降ろされて「ここは何処ですか?」と訊くと また行列の誰かが「ここは冥府の裁判所です」と言った そしてまた別の誰かが「貴男は生前、始皇帝の批評をしましたが、善悪などそう簡単には判断出来ません、批評する人間に因って善にも悪にも左右されるのです」と言った 奥に進むと、法廷に金の鎧兜を身に付けた誰かが現れて 「私は無実です…」と言った 行列の誰かが「今から裁判を行います、もしこの件を裁けたならば、貴男を真の皇帝として産まれ変わらせてあげましょう…」と言った 司馬仲相が迷っている内に、また誰かが法廷にやって来ました 髪を乱した老いた男は「私も無罪です」と言い 獅子の帽子を被った男も「私も無罪です」と言った 司馬仲相は「これでは埒が明かない…、先ずはお名前をお訊きしたいのですが」と訊ねると 金の鎧兜を被った男は「私の姓は(カン)()(シン)です」と名乗り 髪を乱した老いた男は「私の姓は(ホウ)、諱は(エツ)です」と名乗り 獅子の帽子を被った男は「私の姓は(エイ)、諱は()です」と名乗りました
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