第0002話 裁判《さいばん》の行方《ゆくえ》

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司馬仲相は[萠リ]通の証言を聞き、竹巻に皆の名前とそれぞれの証言の(まと)めを書き、よく考察してから竹巻の続きに判決文を書いた 司馬仲相は、自身を連れてきた行列の50人に判決文を読ませ、読み終わるのを暫らく待った 司馬仲相の目の前で綺麗な着物を着ていた50人の行列と御車に繋がれた6頭の馬は忽ち1つとなり、光を(まと)一柱(ひとばしら)の神の姿となった 神は「皇帝が人を統べる者なら、朕は天を統べる天皇大帝(テンコウタイテイ)なり」と言った 司馬仲相が「天皇大帝…」と驚いていると 天皇大帝は「判決を下す、ここに書かれている通り、劉邦と呂雉は有罪、韓信、彭越、英布は無罪とする」と云った 天皇大帝は更に続けて「冤罪(えんざい)が証明された3人を地上に転生させて()ろう。その代わり韓信、彭越、英布として生きた記憶と、死んでからの冥界での記憶を全て消す、3人は漢の天下を()け合い、存分に気を晴らせ」と云った 劉邦は「朕と妻はどうなるのですか?」と訊くと 天皇大帝は「劉邦、呂雉も同様に記憶を消し、劉邦は劉家の子孫として生まれ変わり、臣下に軽蔑され、呂雉はその妻として身を捧げよ」と云った [萠リ]徹改め[萠リ]通が「私はどうなるのですか?」と訊くと 天皇大帝は「[萠リ]徹、お前は後に劉邦との舌戦に勝った者と後世まで伝わり、後の皇帝と名を別する為に[萠リ]通と言われる様になる、その後、前漢は滅び新へ、そして後漢の最後の頃に諸葛家に産まれ、韓信、彭越、英布の生まれ変わりが治めている国の1つに仕え、司馬家の子孫と生涯の敵として立ち(はだ)かる様に」と云った それを聴いていた司馬仲相は「私を皇帝陛下にするという約束は如何(どう)なるのでしょうか?」と訊くと 天皇大帝は「司馬仲相は司馬家の子孫として生まれ変わり、韓信、彭越、英布の生まれ変わりが治めている国の1つに仕え、諸葛家の子孫と生涯の敵として立ち開かる様に、その後は司馬家の息子達と孫達に、産まれ変わった韓信、彭越、英布の3人の息子や孫達の後始末を頼む」と云った つまり、天皇大帝は前漢時代の劉邦、呂雉、韓信、彭越、[萠リ]徹、英布の裁判を司馬仲相に任せ、後漢時代に産まれる劉協(リュウキョウ)伏寿(フクジュ)曹操(ソウソウ)劉備(リュウビ)諸葛亮(ショカツリョウ)孫権(ソンケン)司馬懿(シバイ)に前漢時代の事件の解決と罪滅ぼしをさせたのでした
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