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男の仲間は驚愕したような声をあげる。
「テメェ逃げんのかよ」
敵が言うのはごもっともだと思うけど。
あたしが来たからには好きになんてさせてあげないから。
だってそれがあたしと璃緒との賭けだもん。
「ゴメンね~。ちょっと借りてくから」
全員この程度なら楽勝。
あたしより先輩の筈の男は終始無言のまま体育館につれてってくれた。
「……着いたぞ」
扉の前で止まって言ってくれたから、そこから迷うことも無さそうだった。
「ありがとっ!別に脅したりする気はないから、大人しくしててね?相良センパイ」
じや、と手を振ってあたしは目の前の扉をあける。
さっきセンパイに言ったこと。
そんなのは簡単。
さっきの相良先輩の個人情報を片っ端から言ってあげただけ。
別に相手してあげても良かったんだけどね。
無駄なことで体力使いたくないし。
名前に誕生日に体重に家族構成に………知られたくないことまで細々と。
この1週間で、この学校の生徒の顔と名前は全部頭に入れてきた。
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