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入学式が終わって、一人の男があたしに話しかけてきた。
制服は着てないし、見た目も大人っぽい。
だれ?
「椎さんですよね?」
「…そうですけど」
何この人。
「俺は椎さんの担任で理事長の秘書もしている伊純 玖斗‐イスミクウト‐です」
………。
「……やっぱり変」
あたしが呟くと玖斗は呆然としたままあたしを見下ろした。
「何がですか?」
ソレは隠しきれるものじゃないでしょ。
「作り笑いも敬語もいらない。あたしはただの生徒だし、普通に扱っていいよ」
理事長の血縁とか知り合いが偉い人とか、そんなのあたし自信には関係ないし。
あたしは別に強くも偉くもない。
「椎さん?何言ってるんですか?」
「だってあんた、璃緒と同じ匂いするし。しかも昔璃緒の下にいたでしょ」
「………ハァ…。面倒臭いもの押し付けてくれたなぁ、あの人も」
壁に寄りかかって、本気で面倒臭そうな顔をした。
「そっちが本性ね。無理にまともな敬語なんて使うもんじゃないよ?」
そのほうがあたしも楽だし。
「っ……!」
「早く教室行こうよ?……って、何か顔赤いけど大丈夫??」
さっきまでは普通だったのに。
「なっ、なんでもない。行くぞ」
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