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「教室で素なんだから最初っから作る意味ないじゃん」
口角を上げて言うあたしを立ち上がらせて玖斗は歩き出した。
「お前……肝が座ってるよな……」
「そう?でも玖斗のクラス有害そうな奴ほとんどいないんだね」
「まぁな。だからって無害ってわけでもねぇから」
玖斗は璃緒から聞いてるっぽいよね。
あたしと璃緒の賭けのこと。
「大丈夫だよ?あたしそこまで弱くないから」
笑ってそう言えるくらいは、自信と余裕がある。
「……まぁ、気をつけろ」
「玖斗って優しいよね」
呆れなからそう言ってくれる玖斗は優しいとしかいいようがない。
逆になんで玖斗が怖いのわかんないくらい。
「………ほんとお前変わってる」
呟いて、玖斗は立ち止まった。
「寮はそこだ。なんかあったら俺に言え」
さっきまで横にいた玖斗はすでにあたしに背を向けていて、手をあげて歩き出していた。
あたしはそのまま寮だと言われた建物のなかに足を踏み入れる。
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