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前魔王だったデス・クロウが王座から引きずりおろされ、魔界の様子は一変した。
魔族全員が新たな魔王であるジャリスに従属させられ、次々と戦地へ送られる。
親しかった仲間は殺され、家族も塵となって消える。
それが当たり前になっていた。
「――――今日からお前は、私直属の軍である七大魔人衆の頭をしてもらう。貴様に断る権利はない」
「かしこまりました、魔王陛下」
床に付くほど長い赤毛を揺らし、ガイアヴィスはお辞儀をする。
目の前で悠然と微笑み続ける彼女、新魔王ジャリスが今日から直属の上司という事になる。
――――地位が上がろうと、使い捨ての駒である事に変わりはない。
まあ、どうせ戦地で死ぬ身なんだ、何になろうと関係ないが。
六人の部下をもらっても嬉しくはなかった。魔王に次ぐ地位を貰っても嬉しくはなかった。
ただ死ぬ時期が遅れただけで、心は満たされない。
「ガイアヴィス様、どこ行くの?」
「陛下から命令を受けた。人間界で一暴れしてくる」
「え~っ。じゃあエルティリもつれてって!」
「お前は留守番だ」
「けち!」
慕ってくれる部下達の事は、少しだけ好きだった。でも、心を赦す事は出来ない。
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