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「……随分荷物を沢山持ってきたんだな?」
「まあ……ね」
やって来た自分の部屋は段ボールで占領されていた。
カズの視線がすごく痛い。
冷や汗をかきながら目を泳がせているとカズが目の前の段ボールの封を解く。
無言で中を見ると次の段ボールを開けまた次の段ボールを開ける。
無言で段ボールをあけ続ける行動に耐えられなくなり声をかけた。
「あの、カズ?」
「なぁ、冥利」
「はい……」
カウンターでカズに低い声で呼びかけられ萎縮してしまう。
「なぁ……これ?」
カズがダンボールの中から一冊表紙に美青年べたべたしている描かれた物……所謂、BLをこちらに向けた。
「何冊もってきたんだ?」
「えっと……ダンボールの1/10を10/10から引いたぐらい……かなぁ?」
本をダンボールの中にしまってカズが無言でこちらに歩いてくる。
最後の悪あがきに満面の笑みを浮かべてみる。
「笑えばいいってもんじゃない!!」
「いひゃい、いひゃいよぉ」
僕の頬っぺた散々引っ張りまわしたらスッキリしたのかいつものクールな感じに戻って部屋を見渡した。
「ごちゃごちゃいっても仕方ない、片付けるか」
「カズ片付けてくれるの!?」
「お前も手伝うんだぞ」
「ですよねー」
再開した幼馴染みと他愛のない話をしながら一日目が終わろうとしていた。
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