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「いらっしゃいませ!
お兄さん、何かお探しですか?」
寒さが増してきた初冬。
小物屋でバイトをしている美しい娘が品物を見ている青年に声をかけた。
「…まぁ探してますね。」
その青年はバイトの娘と目を合わせた。
少し色黒で垂れ目気味だが青年の顔はとても整っていて、バイトの娘も一瞬見とれてしまうほどだった。
「…どういったものをお探しでしょうか?
私で良ければご一緒にお探ししますよ?」
娘は気を引きしめていつも通り笑顔で接客をする。
しかし青年は無表情のまま懐から紙を取り出した。
「まぁきっと捜すまでもありませんね。
お姉さん、この名前の人、知りませんか?」
その紙には中央に女であろう名前が控えめに書いてある。
「………………さぁ、私は知りませんねぇ。
……あっ、店長にでも聞いてみましょうか?」
顔色ひとつ変えない娘に青年は小さく溜め息を漏らした。
「…そうですか。それでは出直します。」
青年はそう言うと店を出て人混みへ消えて行った。
「………あの男前、何者?」
娘が小さく呟いた言葉は誰にも聞こえなかった。
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