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彼女が出てくると青年は少し歩いたところにある家の中に入るよう促した。
「今お茶入れるから待っててね。」
彼女を部屋に座らせ青年は手際よくお茶を用意して彼女の向かい側に座った。
「…さぁ、教えてください。
一体あなたは何者なんですか?
この家も罠があるのかと思ったらその気配も無いし、他に人の気配も無い…。あなたの目的は何なのですか?」
冷たい瞳で見据える娘に青年は優しく微笑んだ。
「…そうだねぇ。まず名前からかな?
俺は新撰組の監察、山崎烝。」
青年、…山崎は笑顔で彼女に言った。
しかし対して彼女は顔が凍り付いた。
「…新撰組………」
そんな彼女を気にすることもなく山崎は続けた。
「この家は仕事の関係で借りてるだけ。
別に君を捕らえようとか殺そうとかいう訳じゃないから安心して。
目的はそうだね…、君に力を貸してほしい。」
「……力…?」
娘が聞き返すと青年は頷いた。
「…うん。今の君にしかできない仕事があるんだ。」
「…………………。」
「俺が信じられない?
それともまだ新撰組が嫌い?」
「……別に新撰組なんてどうでもいい。」
「じゃあ力貸してくれる?」
「…内容によります。」
彼女は静かに言った。
「…簡単に言うと君の知ってることを俺に教えてくれたらいい。それと出来たら一緒に行動してほしい。」
「……一緒に…、行動……?」
「…ああ。」
山崎は頷きながらお茶をすする。
その様子を見た娘は怪しげに口角を上げた。
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