【26】帰納の敵は凶の友

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それから約3ヶ月後、西本願寺から移転に協力するので出ていってほしいと言われた為、新撰組は不動堂村の屯所へ移転した。 華が新しい屯所で荷物を整理していると静かに土方が自分の腕が通るだけ襖を開けた。 それに気付いた華が襖の近くまで寄ると彼は顔を見せずに小さく折られた紙を無言で彼女に渡した。 華がそれを受け取ると土方はその場をあとにした。 紙を開くと中には細い字で『送別の宴』とその説明の文が書かれていた。 読み終えた華は紙をそっと蝋燭の明かりの中に入れた。 ******************** 約一週間後、幹部の中でも主立った者のみで宴が持たれた。その中には近藤と土方の姿も見えた。 「では皆、酒を手に持ってくれ。乾杯!」 近藤に続いて乾杯の声が聞こえる。 「さあ、今日は好きなだけ飲み食いしてくれ。だが今夜は知り合いの遊郭の女も呼んでいる。もうすぐ来るはずだから酔っ払って意識飛ばすなよ?」 土方がそう言うと場はさらに盛り上がった。 そんな中、一人だけ浮かない表情の者がいた。酒もちょびちょびとしか飲まず、顔色も悪い。 「…あいつ遅ぇな。ちょっと迎え行ってくるわ」 土方は少々わざとらしく言うと席を外した。 そして彼は女が待機している部屋へ向かった。 「用意は出来たか?」 部屋の外から声をかけた。 すると襖が少し開いた。 「中の様子は如何ですか?」 「盛り上がってるさ。…奴以外はな」 土方は話しながら襖を開けて部屋に入った。 「そうでしょうね。自分の送別会ですもの」 女は艶やかに笑った。
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