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華がふと沖田から目を離した。
彼越しに何かを見つけたらしい。
それを読み取った沖田は急いで自分のと華の手ぬぐいを隠して振り返った。
「…なーんだ……、土方さんとハジメくんか~。何してるんですか?」
つまんなそうに沖田は頭の後ろで手を組む。
「……何もしてねぇよ。ハジメに新しい屯所を案内してただけだ…」
土方は沖田の頬っぺたを思いっ切りつねって言った。
「痛っ、痛い痛っいったいいたいいたい痛い痛っ!!!!!」
涙目の沖田に満足したのか土方は沖田から手を離した。
そんな二人は視界に入らない華は斎藤へと駆け寄った。
「斎藤さん!!!お戻りになられてたんですね!」
「……戻ったと言うか…まあこのことについては近いうちに説明する。それより華、お前どうしたんだ?」
「………何がですか?」
首を傾げた華に斎藤は言いにくそうに目を伏せた。
「…いや、気のせいのようだ。すまないな」
斎藤は無理矢理笑顔を作って言った。
「…それよりお前らこそ二人でこそこそと一体何してんだよ?」
「なんですか土方さん!もしかして嫉妬ですか?もー、ヤダな~。僕はこんな女に興味なんてこれっぽっちも無いですよ!」
本当、これっぽっちも!!!!!と強調して繰り返す沖田に華が猫の威嚇のように睨みつける。
「言っときますけどね、私はお玉ですよ?沖田様くらいオトせますからね?」
「だから何ですか?貴女がヤマシゲさんが好きなように僕はお玉が好きってだけですからね。別に僕は貴女に惚れた訳ではありませんよ。むしろ春江さんに惚れる要素が今のところ一つも見つからないんですけど?」
「沖田様、見る目無いんですねぇ~」
「春江さんこそ色気無いですねぇ~」
「私の色気がわからんなんてやっぱり沖田様ってまだまだお子様なんですねぇ~」
「僕よりガキのあんたが何言ってるんですか」
何ですとっ?と華が反論しようとしたところ、斎藤が無言で彼女を止めた為、華は言いたいことを飲み込んだ。
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