585人が本棚に入れています
本棚に追加
すると急に襖が開いた。
近藤の妾かと思い三人がそちらを見ると見たことの無い少女がいた。
土方は彼女を見た途端、呆れたように小さく笑う。
近藤はわからないらしく一人でテンパっている。
そんな近藤は置いといて彼女は口を開く。
「お雪さんのお手伝いに参りました、小春と申します。お酌させてもろてもよろしいでしょうか?」
「……なるほどね。いいわよ。こっちに来なさい」
伊東は目を細めて笑う。
きっと気付いているのだろう。
小春はもちろん華である。
わかっていないのは近藤だけのようだ。
華にお酒を注いでもらった為か、上機嫌な伊東はペースを上げていく。
近藤、土方も彼をおだてまくってとにかくどんどん酔わせていく。
「土方きゅんも飲みなさいよ~」
「………いえ、私は…」
「え~?下戸なのぉ?土方くんって下戸なの~?鬼の副長のギャップ?かわゆし~」
…あれ?確か本当は伊東は土方に興味がなかったんじゃなかったっけ?
華が不思議に思っていると土方は華が飲んでいたおちょこに手を伸ばした。
きっと 飲めばいいんだろ?飲めば!!!俺だってなぁ、飲めるっつーの! と心の中でキレてるんだろう。
近藤と華が必死で土方を説得するが彼は聞かずにグビッと飲んでしまった。
…まあ、土方はなんとか伊東の前では何ともなかった。
若干テンションは上がったみたいだが無事にお開きまでいつも通りの彼のままだった。
ちょっとは強くなったのか!と近藤は土方の成長に感動したとかしなかったとか…。
「…そろそろ夜も更けてきたわね……。うーん、帰ろうかしらね…」
「お送りしましょうか?」
土方の申し出に伊東は首を横に振る。
「ベロンベロンの貴方に送ってもらっても、護身にもならないじゃない。大丈夫よ」
一人で帰れるわと伊東は立ち上がり少しフラフラしながら帰って行った。
それが近藤たちの見た最後の伊東の姿だった。
そのあとすぐに土方は華に抱き着きそのまま眠ってしまい、近藤は何もわかっていないので大慌てし、華は離してくれない土方に押し潰された。
最初のコメントを投稿しよう!