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伊東はゆっくりと歩みを進める。
ふと夜空を見上げると冬の星が美しく輝いていた。
月は怪しく光っていた。
油小路の本光寺門の辺りに差し掛かった時、後ろに複数の気配を感じた。
その直後、自分に何かが刺さる。
「…っ!」
苦しみもがきながらも伊東は刀を抜き、複数の中の一人を切り付けた。
しかし伊東もかなりの深手であった。
伊東は薄れる意識の中で自分を刺した者を見る。
月明かりに照らされた相手の顔には覚えがあった。
反撃しようにも体が動かせなくなってて出来ずどんどん視界が霞みがかってきた。
伊東は最後の力を振り絞る。
「奸賊ばら!」
突然叫ぶ伊東に相手の者たちは驚くがそれから彼は動くことはなかった。
「…大石さん、死んでます」
確認した者が報告する。
「………よし、作戦通りだ。続けるぞ」
大石と呼ばれた者は他の者に伊東の亡きがらを油小路の七条の辻へ移動させたあと再び闇に溶け込む。
そこへまた誰かがやって来た。
「大石さん、お手伝いに来ました」
「……春江さんすか?助かるっす…」
大石は華に軽く頭を下げた。
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一方御陵衛士の方では大騒ぎしていた。
「大変だ!伊東先生が何者かに殺られたらしい!!!」
「な、何だと?くそっ!新撰組の奴らめっ!」
「伊東先生の亡きがらが油小路に放置されているらしいんだが、これは罠である確率が高い…。どうする?」
「どうするも何も、先生を引き取りに行くしかねぇだろ!!!」
「そうだな!行こう!先生を迎えに!!!」
藤堂を含む御陵衛士の一部の者たちは簡単に戦える準備をして油小路へと伊東を迎えに行った。
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