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「………おい、華!やめろ!!!平助は逃がすように言われてるだろっ?」
永倉が言うが華は藤堂の首に刀を当てる。
「…さよなら、平助ちゃん。おやすみなさい。…いい夢見てね……」
「待て、華!平助、早く逃げろっ!」
原田と永倉は二人の元へ駆け寄る。
しかしその前に華が刀を天高く突き上げる。
「………ありがとう、華ちゃん…。大好きだよ……」
その瞬間、藤堂の背中からは悍ましい量の血液が噴き出し、藤堂はフラフラと数歩歩いたところで力尽きて倒れた。
もう息をしない藤堂を唖然と見つめる原田と永倉。
華も放心状態で赤い水溜まりを見つめた。
どのくらい三人の間に時間が流れただろうか。
永倉はふと我に返る。
そしてまだ血だまりを見つめている彼女の元へ近付くと華も静かに顔を上げた。
「………私のこと、殺しますか?」
掠れた声で華は尋ねると永倉は首を横に振る。
「……………いいや…」
「………じゃあ、…恨みますか?」
永倉は再び首を横に振った。
すると原田が彼の横にやって来た。
「…華、平助笑ってたぞ……」
いつものあのバカな子供みたいな笑顔で、と彼は小さく微笑んだ。
華は倒れている藤堂の元へ行くとしゃがみ込み静かに手を合わせた。
上司より友達になりたいなぁ。
俺と華ちゃんは友達。
目を閉じれば藤堂がそう言って笑っている。
平助ちゃんは一番の親友だったよ…。
華はそう呟くと黙って他の戦いの応戦に行った。
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