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「そんなことより肩の傷はどうだ?」
土方は華の左肩に優しく触れる。
やはり結構痛むのか、一瞬顔をしかめた華だったがすぐに笑顔に戻る。
「大丈夫です。もう殆ど完治ですよ!」
「…あんま強がんなよ」
「いや、本当ですって!!!」
ムッとする華に土方は近付き、そのまま床に押し倒す。
「じゃあ傷口見せろよ」
と言いながら土方は華の首元に顔を埋めようとするが彼女は抵抗する。
「ちょっ、何してるんですか!まだ真昼間!あと私まだ男装してるし!それに副長様、まだ仕事あるんでしょ!ほら、どいたどいた!!!」
土方は舌打ちをして彼女からどく。
華も文句を垂れながら起き上がった。
「…じゃあよぉ、今夜俺の部屋来いよ?」
妖しく笑った土方に華は呆れたような表情で見る。
「嫌です。めんどくさい…」
「なんだよ。いいじゃねぇかよ」
「…気が向いたらね」
華は土方を適当にあしらって仕事に戻った。
*******************
そして夕餉が終わり、女中がめっきり減り忙しい水屋へ華は手伝いに行っていた。
隊士は増えたというのになぜか女中は比例するように減っている。
最近の華は女中の手伝いをするのが日課になっていた。
「ほんま春江くん、いつもありがとうさん」
「今日春江くんが作った煮物とお味噌汁、みんな美味しいって言うてはったよ。男の子にしとくのが勿体ないわ。うちにお嫁に来なさいよ~!」
女中は可愛い男(装)の華にいつもニコニコと話し掛ける。
彼女はいつも適当にあしらうのだがそれがまた女中たちの心をわしづかみするらしい。
そんなところにとある男前がやって来た。
「あら?嫌やわ副長さん、そんな所に立って!どないしはりましたん?」
女中の一人が男前な雰囲気を出しまくる土方に言った。
「…ああ、すまねぇな。ここに春江来てるか?」
「へえ、おりますえ。用事ですか?今呼んで参ります」
そして連れて来られた華の機嫌は悪い。
「…なんですか?」
「俺の部屋」
「……………」
「終わるまで待ってっから」
「…………………」
華は何も答えずに戻って行った。
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