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「…そうですねぇ、私を新撰組に入隊させて頂けるのなら考えます。」
彼女は知っている。
女が新撰組に入れないことを。
こう言うと山崎は絶対に諦めるだろう。
そう確信を持って彼に話した。
しかし彼から返ってきた答えは意外なものだった。
「…そうだねぇ~。
今すぐには無理だからもう少し経ってから、…春くらいに副長に話してみるよ。」
「………えっ?」
「…それまでは秘密の協力者ってことで。もちろん俺から給料も渡すし。」
予想外の返答に娘が困惑していると山崎は笑顔で彼女の顎を右手で上げる。
「…ただし、
今からテストをさせてもらうよ。
これに関しては拒否権は無いから。
…あっ、そーそっ!!言い忘れてたけど少しでも不審な動きをしたりしたら……」
山崎は彼女の顎を上げたまま自分の顔を彼女の耳元に近付けた。
「……命は無いと思ってね?」
彼の声はまるで氷のように冷たかった。
そんな山崎に彼女は笑った。
「……なーるほど。
それは楽しくなりそうですね。
望むところですよ。
何があっても私は裏切りません。
私は今から新撰組の味方。
何なら契約書でも書きましょうか?」
最後の一言を冗談っぽく話す彼女に山崎は満足げに微笑む。
「契約書なんていりません。
そんなものより情報を下さい。」
「そうですねぇ。…ではこのお話、知ってますか?」
彼女が話したとある宿屋の主人の話のおかげでひとつ事件が解決した。
それから2人は山崎が"副長"に彼女の新撰組入隊について話すまで情報を交換したり、共に行動していた。
その頃にはお互い警戒が完全にとけたらしい。
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