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探偵部記録二日目
あれから、一週間。
夢魅さんは何も話さずに、ただ座っているだけだった。
『……………………。』
「あっあの!私、先生に提出しなきゃいけないものがあって!」
「僕も用事が!」
「「私たちも!!」」
僕たちは耐え切れずその場から逃げようとする。
「ちょ…ちょっと待って!!!!」
部長がすかさず止めた。
葵先輩が部長に近づいて耳打ちをする。
《ここ一週間ずっとこれじゃない!賀織、部長なんだからなんとかしなさい!》
《わ…分かってるわよお!!でも…私が話し掛けても…アリスちゃん全然話してくれないし……》
いや、あの先輩たち。
ガッツリ聞こえてますよ。
《そこをなんとかするのが部長でしょうが!!》
《でもさーーー!》
「…事件」
鈴の鳴るような声がした。
『………(((バッ』
全員一斉に振り返る。
声の主は―――――
――――夢魅さんだった。
「……あなた達のこと、この一週間でよく分かった。解決できるか、すごく不安。だけど他に頼りがないから。」
夢魅さんは今までの無言が嘘のように饒舌になる。
「……しゃべった…ぬ」
「びっくりだわ……」
なんで……いきなり………
「………ハッ!あ、あの…アリスちゃん!今事件って言ったけど…」
「解決してほしい」
「そうじゃなくて…ここは、探偵部だから…部員は事件を……」
「じゃあ部員じゃなくていい。依頼人。」
(゜Д゜; )←部長
この時ほど愉快な顔をしていた部長を、僕は見たことがない。
「じゃあつまりそれって…」
「新入部員じゃなくて…」
「依頼人…」
「だぬ」
ジ~~
「いやっあのっほら!あれよ!!『こりゃうっかりだあ☆』てやつよ!!!!」
「理由になってなああああああああい!!!!!!」
「う゛ぐほお!!!」
葵先輩の脳天チョップが見事に決まる。
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