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ドクターは見事に心理を揺さぶりかけた。動揺したいわおを宥めながらも煽り、脳裏に3億円を焼き付かせた。
「・・・たった一つの意見とは、あなただけがこの場に居合わせばいいのですよ」
そう言って、ドクターは視線を蹲っているベンの方へ誘導した。
いわおは完璧に冷静さを失い、ドクターの言葉に理性を壊されていた。
いわおはいきなり、ベンからナイフを抜き取り、清水へと襲い掛かった。
二人とも命のやり取りに必死だった。いや、3億円の為に。
ベンの時と同様揉みくちゃになった。
清水は足を滑らし、いわおが襲い掛かった。
しかし、清水は床に転げ落ちていたパソコンでいわおの頭を強打した。
ナイフを落としたいわおは、頭を抱えるように倒れ込んだ。
すると、
「この場に清水さんしかいないとしたら3億円はあなたのものになりますよ。ほらあの3億円が・・・」
再びドクターが揺さぶりかけた。いわおにした時と同様に。
清水はドクターに操られるが如く、パソコンでいわおを殴打し続けた。
いわおの意識があろうと無かろうと、何度も何度も・・・
そして、清水は最後の一発を食らわせ立ち上がろうとした。
その瞬間、
ドクターは、自分が常に所持しているメスで清水の頸動脈を切断した。
清水の首から大量の血が噴き出し、その場に倒れ込んだ。
恐らく即死だろう。
「クックック・・・はっはっはっ」
ドクターは高笑いを始めた。そして僕の方を振り向き、
「後は君だけになってしまったね。てつくんだっけ?若いのに気の毒だな」
そう言うとニタニタしながら僕の方に近づいて来た。
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