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その時、ノックする音が聞こえた。扉を開けてみるとスーツ姿の男がいた。彼が持ってきたのは何と、
3億円だ!それにナイフだった。
スーツ姿の男は何も言わずに3億円とナイフを置いて帰って行った。
(マジかよ!!諭吉が3万人か!!遊び半分でこのディベートに参加してみたけど、やべーテンション上がるわ)
僕はかなり興奮し出した。いや、僕だけではなく、誰もが興奮しだした。同時に今回のゲームに現実味を感じてきた。
今ここに理性を壊すものが現れたのだ。
「と、取り敢えず議論を続けようか」
動揺しながらもベンが仕切出した。しかし、3億円のことが気になって仕方がない様子だった。
「人殺しをするというのは非日常世界のことを言っているのではないのか?誰だって常日頃から人殺しをしたいと考えている人なんていないはずですよ」
清水が切り出した。
「フン、自分の都合の悪いことは排除するような考え方だな。可能性に目を背け、人殺しが起こりえる現実をはなからありえないと思い込んでいるからそんなことが言えるのさ」
いわおが言った。
「あなたの意見は相手に不快感を与えるね。ディベートには不向きですよ」
清水が言った。
「フン、貴様らが理想論ばかり唱えるからだろう。善人者ブリやがって」
いわおが言った。
「論議するのにパソコンを弄っている人に言われたくないですよ」
清水が言った。
皆かなりヒートアップしてきた。
「ちょっと止めましょう。いわおさんも言いすぎですよ」
ベンが言った。
「ちっ、お前さっきからなんなの!」
いわおがキレた!
「勝手にしきって目立とうとしてんじゃねぇよ!」
「別に私はそんなつもりはないですよ。でも誰かがやらなければ議論が進まないじゃないですか」
ベンが弁解を始めた。ベンだけに・・・
「このディベートで目立とうとしているのが見え見えなんだよ」
いわおの怒りの矛先がベンに向けられた。
「それは、あなたにも言えることです」
清水が言った。
そして時間が経つにつれ、ベン、いわお、清水の3人の言い合いが激しさを増してきた。
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