1936人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
.
俺が目が悪いって気が付いたから、転んだり、ぶつかったりしないように気をつけてくれていたんだ…
澪を見ると、ブスッとしている。
だが、その手はしっかり俺の手を握りしめている。
…澪って、本当に
パチッと目が合った。
黒曜石の瞳はキラキラと輝いていて、本当に綺麗だ。
「……とりあえず、この眼鏡かけてみな」
「澪がかけさせてよ」
「……甘えん坊め」
悪態吐きながらも、ソッと慎重にかけてくれる。
そして、視界が晴れて…
「…どうだ?」
「……澪」
「…なに?」
「可愛い」
「……バカ」
呆れたようにそう言いながらも、どこか嬉しそうな表情。
顔の筋肉は余り使わない澪の表情は、多分、俺だから分かるのだ。
ヒョコッと現われた初老の男性は、思ったよりもっと良い男的な顔をしていた。
なんつうか、昔スゲー格好良かったんだろうって感じ。
「君は今までどうやって生活をしてきたんだね?」
「へ?」
「かなり不便だったんじゃないかな?学校の授業とか・・・」
「はぁ・・・」
適当に相槌を打っていると、スパンと頭を叩かれた。
「はぁ・・・じゃねぇよ。まったく・・・
じゃあ、爺さん、フレームは一応これで眼鏡作っといて」
.
最初のコメントを投稿しよう!