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「僕の仕事だから。」
そして彼は楽しそうに唇を歪める。
「っ……!」
男は何とか痛む体を酷使して急いで立ち上がり逃走を図ろうとした……が、
「うっ……!」
すぐに背後から重みを感じ再び地面に身を委ねる。慌てて自分の背中に視線を向ける。
そこには笑みを浮かべた青年が男の背中に座っていた。
「お前……。」
男が何かを口にしかけたのを遮るように青年は男に向かって右手をかざす。
--……刹那
まるでテレビの電源が切れるように男の身体が消えた。そして、青年が男の空間分だけ重力に従ってそのままの体制で地面に落下する。
「ふぅ……。拓也、まだ居るよね?」
そして青年は溜め息をつくと、その余韻そのままにどこてもなく声をかける。
「……。」
ガサガサと音をさせ草を掻き分けて、拓也と呼ばれた先程の彼は無言のまま青年の前に姿を見せる。
「君さぁ、無いだろうけど男を殺せって任務が出てたとしたら、」
妙な間を置いて笑みを浮かべたまま、青年が拓也に向かって問いかける。
「どうしてた?」
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