笹川彰

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授業中にも関わらずざわつく教室の中、小さなため息を一つついてから黒板の白い字を目で追った。 元男子校で不良ばっかだった為か、入学してきた男子もそっちの傾向が強いらしい。 だから授業はいつもゲームをしたりマンガを読んだり…とにかく自由すぎる程だ。 先生もそれが当たり前の光景だからか、気にもせず授業を進めている。 (先生も先生で大変だよなー。まあ慣れれば別なのかな?) 前の席に座るさやかちゃんはお化粧直しに酷く熱心だ。 そしてその隣のコーちゃんは隣の席でゲームをしている男子を気にしながら先生の話を聞いている。ああそんなにゲームしたいのか…… そしてあたしの隣に座る彰は始終あたしの方に顔を向けて何やらにやにやと笑っている。 気持ち悪いぐらいにやにやしているのだ。 「………」 「…(にやにや)」 こんな彰に慣れているとは言え、さすがに気が散る。 前を向いてよ、と彰に声を掛けようと顔を横に向けた瞬間、ゴンッと鈍い音があたしの頭で鳴り、痛いと小さく呻いた。 「いった…ってゴムボール?」 コロンと机の上に転がった柔らかいボール掴み、飛んできた方向を見ればクラスメイト(確かよし…なんとか君だったはず)が顔を青ざめさせていた。 しまった。と思った時にはもう遅く、クラス中どころかさっきまで淡々と授業を進めていた先生までもが青ざめた顔であたし達の方向を見つめていた。
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