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「……ねえ、あなたの名前はラオっていうの?」
ひとつの部屋につれてこられたアリスは問いかけた。
「違うよ。何で?」
少年は首を傾げた。
「さっき女王様が呼んでたから」
「僕は白ウサギ。名前なんてないんだよ。女王様は僕を拾ってくれて、ラオっていうのは女王様が勝手につけたんだ。でもアリスならそう呼んでくれてもいいよっ?」
ラオの笑顔につられてアリスも笑った。
「……ラオは……なんであたしのことを知ってたの?」
次にアリスが口にした疑問は当然の疑問だった。
「何言ってるの?アリスの存在だけなら知らない人なんていないよ??」
それは当たり前のこと。
当然のことのようにラオは言った。
さっきまでと同じ笑顔のはずなのに、アリスはなぜかその笑顔に寒気を感じた。
「なんで?」
「なんでって、アリスがアリスだからだよ」
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