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桜の花びらが舞い散る季節
新入生や新入社員が入社、入学する季節であり、新たな生活が始まる季節である
また、美しい桜を見つつ仲間と飲み合う花見もこの季節特有の行事である
そんな人々の人生にとって心機一転、新たな挑戦でワクワクする季節に夜風に吹かれながら木の上で辺りを見回す一人の女と一つの黒い影があった
「……で、“アイツ”は確かにこの町に逃げ込んだの……って聞いてるの!?」
女は、自分の後方で浮いている黒い影に問い掛けるが、黒い影は問い掛けに答えず、手に握っている同じ黒い影の塊を音を立てながら食べていた
「ちょっと、そんな出来損ない食べてないで聞きなさいよ!」
『んぐ、聞いてるわよ~。てゆ~か、アタシのこと信用できないの~?』
「あら、どこかの誰かさんのことを信じてみたら全然違って結局逃がしちゃったのはいったいどこの誰のせいかしら?」
『ぬぐっ……。そ、そんなこと言ったら一度捕まえたのにちょ~っと油断しちゃって逃がしちゃったのはどこのどなたかしら~?』
「な……。そ、そんなこと言ったら……」
何やらお互いの文句を延々と続けていると、どこから現れたのか、一人の男とこれまた一つの影が美代とミルフィーユの後ろにいた
「お前達、こんな所で何をしている。美代、ミルフィーユ」
「うげっ……、この声は……」
『あ……あら~、東雲とアクセルじゃな~い。おっひさ~』
「俺はそんな挨拶を聞いてるんじゃない。こんな所で何をしているんだと聞いているんだ」
東雲と呼ばれた男は、先程まで言い争いをしていた美代という女とミルフィーユという影に刺々しい言葉を言い放ち、黙らせた
二人はその言葉に怒りを感じ、黙ってしまった
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