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「そーいえば俺っち、最近みょーな噂を聞くんだけど……知ってるか?」
「妙な噂?」
噂
大抵の噂は元となった噂に色々な要素が付け加えられて、最終的にはもはや原形を留めないほどの噂になっているのがよくある話しのオチだ
かく言う悠希も、身に覚えのない噂を付けられた人の一人だ
「あぁ、噂ってのは二つあってさ?一つはなんちゃらドリ~ムって名のモンで、もう一つは黒影の悪夢って噂なんだけど――」
「えっ!?、何だよそのいかにも中二病設定の総称は?もう少しマシな名前付けらんねェのか?」
「俺っちが付けたワケじゃないから知んねーさ。とにかく名前だけはたまに聞くんだけど……なんか知ってっか?」
「知らねェーよんな名前。知ってたらんな中二病設定に驚かねェーよ」
「ま、それもそっか……ってアリ?新入生がいない――」
気付いた時には遅かった
既に新入生はおろかか、在校生までもが学校の中に入っていた
そして学校内に予鈴が響きわたった
「やっべぇ、予鈴なっちゃってんさ!」
「何そんなに急いでんだよ、いつもなら余裕ぶっこいてるクセに」
「バッキャロー!」
「ぐほァ!?」
何故か唐突にへグーパンチする紫苑
そしてぶっ飛ぶ悠希は屋上の床へ顔面ダイブした
「んだよテメェ!」
「馬鹿かおぬしは!今日は新任の保険の先生がいらっしゃるんだぞ!それを忘れるとは……なんたる不届き者!」
「え~っと……あァ!あの美人養護教諭が来るかもって噂のか!?」
「それだよそれ!ほれ、早く行くぞコンチクショー!」
「テメェ……人のことグーで殴り飛ばしといてよくんなこと言える――」
だが時すでに遅く、そこに紫苑の姿はなかった
悠希はやれやれとした顔で、殴られた左頬をさすりながら生徒が集まる体育館へと向かって行った
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