あの味をもう一度

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重い…。 体が動かない…。 目の前には笑顔の女の子。 僕をじーっと見てる。 僕はこの女の子を知ってる。 忘れたことなんかない。 でも、忘れたかった。 頭の中から追い出そうとすればするほど、こびりついてはなれない。 あの笑顔だ…。 苦しい。 でも、大好きな人だった。 この人のためなら死んでもいいと思った。 僕は死にたいわけじゃなかったけど、この人のために死にたいと思った。 けどムリだった。 僕は死んだ。 死んだんだ。 あの子のためではなく…。 ただの事故だった。 生まれ変わりたくもなかった。 だから望んだ。 死に神になりたいって。 僕は望んだ。 そしていつか…大好きな人を導きたい。 僕をこんなにしたあの子を…。 笑顔の兄から引き離して…。 僕の元へ………。 僕の大好きな子は、兄の彼女だったんだ。 ………
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