少年

2/14
前へ
/68ページ
次へ
清水啓治SIDE いつからそうしていたのかはわからない。 気づいたら私は、座りながらうたた寝をしていた。 周りを見回してみる。 そうだ。ここは、人気なしゃれた造りのカフェテラス。 わりとデカイんだったな。テレビで話してた。 向かいには、大きな本屋が見える。 このあたりの店は、大きいものが多い。 本屋に限らず、デパートやCDショップ、アミューズメント施設も充実している。 私は、何となく本屋から視線を移してみる。 あの建物はなんだったか。 それは、本屋よりかなり右にあった。 白い。 そうか病院か。あそこは都内でも有名だったな。 病院を眺めてみる。 なんとなく、そちらから来る気がしたのだ。 「すみません。お待たせしました。」 「おわ!」 不意をつかれた。後ろからだった。 そこには、見た目十代とおぼしき少年が立っていた。娘と同じ高校生に見える。 全体的に黒っぽい服を着ていた。 「あの本屋、品揃えいいですね。やっぱ面白いです、『こち亀』。読んでます?」 と照れた笑顔を見せる。 笑う顔は幼く見える。無邪気に笑う子だな。 「いや、漫画は読まないんだよ。」 「そうですか。残念です。」
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加