あの味をもう一度

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島田愛Side 第一夜 上 眠い。 すごく眠いや。 ここ…どこ? 「起きました?」 え? 「だ…れ…?」 見上げとそこには黒髪の少年がいた。 見たことない人。 ここは、そうだ私の家だ。 窓の外が暗いから、たぶん今は夜。 「どうしたんですか?」 少年が聞いてきた。 「それはこっちの台詞。 君、名前は?」 「…」 「何?」 「……泣いていたんですか?」 「へ?」 頬をさわると、確かに私は泣いていた。 どうして…? 「イロイロあって混乱しているのはわかりますが、落ち着いて下さい。」 「…私、ずっと落ち着いてるけど?」 「…」 少年がそんなばかな、みたいな顔をしている。 動揺を隠しきれてはいないみたい。 「ごめん、何か用事?」 「まぁそんなところです。」 「そう。 悪いけど、また明日にしてくれる? 今日は疲れたから。」 「…わかりました。 また明日、この場所で。」 「うん…。 またね。」
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