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第三夜 上
「昨日はありがとう。」
「いえいえ。
お安い御用です。
あれくらい。」
同じ時間に同じ場所。
またリュウが来た。
昨日はとりあえず、おかげで財布が助かった。
ただでさえお金がなかったから、少年がおごってくれるという言葉に飛びついてしまった。
でも、よく知らない人におごってもらって、よかったのかな?
「どうしても思い出せないことがあるの…。」
「…なんですか。」
「思い出したいの…。
でも、でてこないの。」
「なんのことですか?」
…ダメだ。
もうムリ。
諦めようかな。
でてこないんだから。
「…。」
「…。」
私が黙るとリュウも黙る…。
何か話すこと話すこと…。
「君、好きな食べ物は何?」
私、何言ってるのかな…。
「好きな食べ物…。
みそ汁ですかね。」
えぇー。
「なんで?
おじいちゃんきたよこれ。」
「いや、だって温まるじゃないですか。
寒い日は僕、絶対飲みますよ?」
「そう。
具は何?」
「えーと、まぁ普通ですよ。
ワカメ、豆腐、ねぎ、ジャガイモ、にんじん、たまねぎ、かまぼこ、納豆、しょうが、イチゴ、きゅうり、さんま、アンコウ、エイ、すっぽん…etc。」
あれ~。
普通はどこへ行ったのかな~。
たぶん納豆あたりからおかしいよね…。
しかもたぶんすっぽんて、出汁(だし)だよね…。
「まぁ…個性的で…いいね…。」
…あれ?
「どうかしましたか?
そんな変な具でした?」
「変は変だけど…。
なんか…っあ!」
これ、キタ。
思い出した。
「ありがとうリュウ!」
「へ?」
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