あの味をもう一度

17/45
前へ
/68ページ
次へ
リュウはまだ愛さんと話してる。 そろそろ…あ、来た。 だんだんと現れて、色が見えてくる。 なるほど、さすがは双子…。 そっくり…。 でもこの子は髪が長い。 写真どうりだ。 とりあえず声をかけてみる。 最初が肝心。 「ねぇ。」 「は、はい?」 「初めまして。」 「は、初めまして。 えっと、誰?」 出てきた人はみんな最初にそう言う。 「ナツって言うの。 ヨロシク、恵ちゃん。」 「ここは…私の家?」 「そうよ。」 この子…ずいぶん思い出すのが早い。 「ねぇ、私、どうしてここにいるの?」 これもいつも通り。 「それは自分で思い出さないとダメなの。 そういう決まりだから…ね。」 よし。 我ながら上出来。 きっとこれから、 『思い出せないよ。 教えて、何かあったの?』 って返してくるに決まってる。 「あのね。」 ほらきた。 「そういう意味じゃないの。 どうして私は殺されたのに生きてるの?」 …これはいつも通りじゃなかったみたい。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加