あの味をもう一度

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ガラガラ 缶コーヒーを3つ抱えながら、戸を引いた。 店の中は暖かかった。 あ~生き返る。 「ちわー、ってあれ?」 立ち上る湯気。 ラーメン作ってんの? 「あ、遅かったね。」 「遅かったねって…何コレ?」 「あ、いやなんかね。 愛さんとちょっと話してたら、 『思い出した!!』 って叫んで 『ラーメン作るから待ってて。』 って愛さんが。」 「はぁ…。」 思い出した? 何を? サッパリだ…。 「あ、こんばんは。」 恵さんが店の隅でチョコンと座っていた。 「こんばんは~。」 「あの…おとといもいましたけど…、その人誰ですか?」 と、リュウを指差した。 へ? 「…。」 「リュウ? なんでしゃべんないの?」 「え? その人にも私、見えてるんですか?」 どうやら恵さんは、リュウを普通の人と思ったらしい。 そりゃ、普通か。 「あ~違う違う。 そいつ、シニカミだから。」 「え? ええ~!?」 「どうも…シニカミです。」 「挨拶が遅い! リュウ、恵ちゃん見習いな。 …そんで、どうして話さなかったわけ?」 「いや…タイミングを逃して…。」 「はぁ…。」 ため息。 大丈夫か? コイツ。
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