あの味をもう一度

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「おまったせー。 あれ? 初めましての人がいるね。 初めまして。」 愛さんがラーメンを三つ、持ってきた。 三つ? それに…。 「テンション高いね…。」 リュウに耳打ちした。 「実はさっきからこうで…。」 と、リュウが応えた。 ホント、どうしたんだろう。 恵さんが隅で縮こまるのが見えた。 愛さんには恵さんは、見えないから…。 「この人はナツっていって、まぁ友達です。」 リュウから私の紹介。 かなり大雑把だな…。 「初めまして、愛ちゃん。」 まぁ初めましてじゃないんだけど。 「うん。 ま、とりあえずこれ、伸びないうちに食べて。」 と、愛さんがラーメンを置いてくれる。 「ねぇ、なんで3つなの?」 気になったから聞いてみた。 「いや、あのね。 一つは私。 一つはリュウ。 で、一つは恵ちゃんに…。」 恵ちゃんの体がちょっと跳ねた。 驚いたみたい。 「…妹さん…ですか。」 「なんで知ってるの? …まぁそうなんだけど…。 仏壇にお供えしようと思って…。」 ああ、なんだ。 恵さんが見えてるのかと思った。 恵さんがホッと、胸を撫で下ろした。
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