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今日は一段と空が青い。
その透明に澄んだ青に、時々白い雲が通っていく様を見上げながら、あたしはお弁当をつついた。
校舎の屋上。
こんな日は、外で食べるのが楽しい。
少し熱気を孕んだ風が凪いでいくのを感じると、あぁもう夏になるんだなって思う。
盛夏に突入したら、屋上もコンクリートが焼けて、お弁当どころではなくなるだろうなって考えたら、悲しくなった。
広い屋上の端で昼寝をしてるあの人も、背中が火傷することになるのかな。
ちらちらと揺れる赤い髪。
でもきっと、夏の太陽によく似合う。
食べ終えた弁当箱をしまって、同じように寝ころんでみる。
より大きく広がった空が、視界全体を覆った。
――あ、好きかも。
こうして見る空が。
少し嬉しくなる、小さな発見。
――たぶん、すごく好き。
揺れる髪しか知らない誰かと、時間と空間を共有する昼休みが。
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