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やがてそれはイジメへと姿を変えた。
目に見えて露骨にイジメをする者はいなかったが、
こそこそと陰湿なイジメが続く。
ただ……陽菜にしてみれば、幼い頃からの虐待による暴力に慣れていたから、
同級生から受けるイジメに関しても死ぬほどツライとは思わなかった。
それから数日……。
イジメはエスカレートしていく。
拓馬が自室で勉強していると、山形が部屋にやってきた。
「拓馬くん。陽菜ちゃんのことなんだけど」
「え?」
「イジメられてるみたいなんだけど、何か知らない?」
そう言われるまで拓馬は気がついていなかった。周りに興味がなかったからである。
「そう言えば……」
「やっぱりイジメられてるのね?」
「いや……ハッキリとは分からないけど、いつも一人でいるみたいだから」
「無視されてるってこと?」
「う~~~~ん。そうなのかな? 俺もクラスのヤツとは口きかないからよく分からないけど……。あいつが虐められてるって言ってるの?」
「ううん。陽菜ちゃんは聞いても何も言わないけど、教科書破れてたりするし……」
「じゃあヤッパリそうなんじゃねぇの?」
「そうか……。そうだよね? やっぱり……」
山形は何かを考え込んで無言になった。
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