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…
用を済まし、清々しい気持ちでトイレを出た。
『――現場の出血量と被害者の血液の量が合わない事から巷では〝現代の吸血鬼〟と―』
途端、店に似つかない機質な男の声が聞こえ、思わず目を向けてしまった。
声の発生源はどうやら先客の若者達からのようだ。……と、言っても若者は誰ひとり口を開いておらず、食い入るようにテーブルに置かれたごつい固体を見ている。
丸渕のレンズやらボタンやらが装備された黒々とした四角い箱。側面の大半を占める液晶画面。
なるほど。あれが『ビデオカメラ』ってやつか。
よく聞くとカメラから漏れた音は若干割れているように聴こえた。もしかしたら、以前放送されたモノを録画したモノかもしれない。
……他にも気になる物が目に付いたが、今は無視。さっさと二人の下へ向かった。
「――あら、遅かったわね」
到着した俺に気付いたアリスの台詞に俺は返事が出来なかった。
一瞬、頭が眼前の事実に追い付かなかったからだ。
迷いなく言える。原因は霊夢、とテーブルの大半を占める料理。
どんだけ腹減ってたんだ?! と問いただしたくなるくらいの勢いで「ふがふが」言いながら料理を掻き込む霊夢さん。 ……アリス同様、苦笑いを浮かべるしかなかった。
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